人として最高の上司に出会えた。反面教師的な意味で。
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毒吐き
今の上司に出会えて、本当に良かったと思っている。見ていてこんなに勉強になる上司はなかなかいないと思うのだ。
自分に足りないことを、あるいはやってはいけないことを、その上司は身を持って教えてくれる。こんなにも素晴らしいことがあるだろうか。
この上司が普段やっていることをやらないようにすれば、それだけで、人としての節度やマナーといったものを理解できるのである。
そう、この上司は最高の反面教師なのだ。
他人に厳しいが自分には甘い。
この上司は、他人には厳しいことを言うが、自分には甘いのである。
特に、報連相に強くこだわりがあるらしい。部下からの報告や相談がない場合、自分の机に呼びつけてネチネチと説教するくせに、自分が決めたことを部下に伝えることがほとんどない。
事例
来週の予定、として一応決まっていたものが急に変わることがよくあるのだが、それが当事者に伝えられてこないのである。おかげでこちらは、常にグループウェアのスケジューラーにアクセスして、「さっきと何か変わっていないか」をひたすら気にしていなければいけないのだ。
下からの報連相は強く求めるが、上から下への報連相というのは必要ないと考えているのだろうか。
何かの要件に関する全体への周知にしても同じである。部下の周知忘れは此処ぞとばかりに呼びつけて説教するが、自分の方はといえば、「あ、これ朝礼で言うのを忘れてた」とか言って、業務中に突然大声で叫び出すのだ。
同じことを部下がやった場合、間違いなく彼とともに会議室かどっかの個室行きとなるだろう。そして、おそらく30分以上は戻ってこない。
間違った時に謝れない。
些細なことでの間違いを、こちらも起こすし上司も起こす。間違ってしまうこと自体は仕方ないだろう。間違えようと思って間違う奴はいないのだから、間違い自体を責めることは不毛なことである。
だから、間違ったと分かった後の対応が重要であることは誰でもわかるだろう。普通なら、謝罪とともに対処策を考えて上司なり関係者なりに相談・連絡することが必要となる。
だが、この上司は謝るということができない。どころか、間違ったという事実自体を認識しないのである。
事例
「週末の会社行事を欠席する人は一応その理由を連絡してください」という指示があった。ある部下が友人結婚式のため欠席することを伝えた翌日の朝礼での指示だった。おそらくその部下の報告を聞いて、一応他の欠席者にも聞いておこうと思ったのだろう。それ自体は別にいいのだが、この上司は何を思ったか、金曜日になって最初に欠席を伝えた部下に対して「君はいつになったら欠席理由を俺に言ってくるの?」と詰め寄ったのである。
もちろんその部下は心外だった。すでに伝えているのだから、その翌日に改めて指示のあったとしても2度も伝える必要はないと思っていたのである。
それを言っても、この上司は取り合わない。「それでももう1回言ってくることが当たり前」らしい。
振り返れば、最初の欠席報告の時、この上司はパソコンに向かってのながら作業で、生返事で聞いていた。きっと最初に聞いていたことを忘れていたのだろう。だから欠席の数名の中に名前がありながらいつまでも理由を行ってこない部下に対して憤っていたのである。
しかし、この上司は自分が忘れていたなどということは認めない。「それでも2回報告することが当たり前だ」と言って、部下を「指導」するのである。
1つのことに関するお説教が複数回に渡る。
何かいけないことをしてしまって、そのことに対する説教が行われる。それ自体はまあ普通のことなのだろうが、問題はそのお説教が何回にもわたって行われることだ。
この上司の場合最低4回に渡る。
まず、それが発覚した際に1回。その後少ししてどこかで顔を合わせた時に1回。その日帰る間際にもう1回。そして、後日何か別の件でお説教や面談の際に、「そもそもこの前も~」と言ってもう1回。
やってしまったこと自体は自分が悪いとしても、こう何回にもわたって同じことに関する話を繰り返されるのは流石にウンザリである。改善しようという意思なんか吹っ飛んでしまう。
当人としては、何回も繰り返して「指導」してあげている俺カッコイイ、みたいな気持ちなのかもしれないが、言われているこちらからすれば全く逆効果である。そのことにさっぱり気づいていない愚かさもまた、この上司を見ていて勉強になると思う対象の1つである。
自分のミスを隠蔽する。
現場作業時において決定的なミスをして、1時間もしないうちに顧客から問い合わせが来たのを、この上司は隠蔽した。
問い合わせがあったという連絡を受けた瞬間すぐにその現場に戻り、正しい状態に直した上で写真を撮って「お客の勘違いです」と報告したのである。
車に一緒に乗っていた新人社員の証言によってこの話は一気に社内に広まり、もともと高かったこの上司への不信感が一気にピークとなった。
そのミス自体は、部下たちもこれまで何度もやってきたことのあるもので、最終確認作業を徹底することで再発防止としていた。それでも確認を怠って発生してしまった場合は、いつものようにこの上司による厳しい「指導」が行われていたのだが、今回は上司自身が同じことを起こしてしまったのだ。
そこで謝ることができればまだよかったのだが、こともあろうに隠蔽工作を図ったのである。あまつさえ自分の腹心とはいえない新人が横で見ているのにも関わらず。
隠蔽を図ろうとする思考とともに、横で見ている人間がいるのにその場を取り繕うためだけの写真を撮ろうとする判断の愚かさまでも明らかとなった事例である。
結局、社内の騒ぎと噂が大きくなったことで社長の耳にも入り、ミスと隠蔽工作の事実は明るみに出ることになった。ただし、「実は当社のミスだった」という話は顧客には伝えられていないようで、顧客の方では「勘違いだった」ということになっているらしいが。
上司は最高の反面教師だ。
この上司と比べてどうかはわからないが、多くの会社で「訳の分からない上司」が跋扈していることだろう。
もちろん不満感不快感は山ほどあるが、同時に「こいつは最高の反面教師だ」と思えば、多少なり気持ちも変わってくるのではないだろうか。
どうすれば人から嫌われるのか、どうすれば信頼をなくすのか、その上司は身を持って示してくれているのである。こんなに有難いことはない。だったら、自分はそうしないようにすればいいのだ。
そのほうが、ただ不快感を抱いて過ごすよりも、まだマシで前向きな気持ちだろう。
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